年収と年商の違いとは?意味・使い分けと平均年収の目安を解説
結論:年収は「個人の収入」、年商は「企業の売上」
年収と年商は、どちらも「1年間の金額」を表す言葉ですが、対象がまったく異なります。年収は働く個人が1年間に得た収入(給与・賞与などを含む税込額)を指し、年商は企業や店舗が1年間に売り上げた金額の総額を指します。
つまり、年収は「人」の指標、年商は「会社・事業」の指標です。転職サイトや求人票で使われるのは年収、会社概要や決算資料で使われるのは年商と覚えておくと整理しやすくなります。
- 年収=個人の1年間の収入(税込・手取り前が一般的)
- 年商=企業・店舗の1年間の売上高(売上高とほぼ同義で使われることも多い)
- 年収は「人」、年商は「事業」の数字
年収の定義と使われ方
年収は、1年間に受け取った給与・賞与・各種手当などを合計した金額です。一般的には所得税や社会保険料を差し引く前の「額面(税込)」を指し、実際に口座へ振り込まれる金額は「手取り」と呼んで区別します。
求人票の「想定年収」は基本給・諸手当・賞与を含めた年収ベースで提示されることが多く、残業代が含まれるかどうかは企業によって扱いが異なります。提示額を見るときは、額面か手取りか、残業代込みかを確認することが大切です。
- 額面年収:税金・社会保険料を引く前の金額
- 手取り年収:実際に受け取る金額(額面のおよそ75〜85%が目安とされる)
- 賞与(ボーナス)を含むかどうかで同じ会社でも差が出る
年商の定義と使われ方
年商は、企業や店舗が1年間に売り上げた金額の合計です。会計用語では「売上高」と呼ばれることが多く、年商=売上高として扱われる場面が一般的です。
年商はあくまで「入ってきたお金の総額」であり、そこから仕入れ・人件費・家賃などを差し引いた利益とは別物です。年商が大きくても利益が少なければ、従業員の年収が高いとは限りません。
- 年商=売上高(1年間の売上の総額)
- 年商から経費を引いたものが利益
- 年商が大きい=社員の年収が高い、とは限らない
混同しやすい「売上・利益・年収・手取り」の関係
年商・売上・利益は企業側の言葉、年収・手取りは個人側の言葉です。この4つを整理すると、会社の売上が利益を生み、その一部が人件費として社員の年収になり、税金や社会保険料を引かれて手取りになる、という流れになります。
特に「年商○億円なのに給料が安い」と感じるケースは、売上が大きくても利益率が低い、あるいは人件費に回す余力が少ないといった事情が考えられます。
- 年商(売上)→ 経費を引く → 利益
- 利益の一部 → 人件費 → 社員の年収(額面)
- 年収(額面)→ 税金・社会保険料 → 手取り
日本の平均年収の目安(万円レンジ)
厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査」によると、一般労働者(短時間労働者以外の常用労働者)の所定内給与は男女計で月額34万600円(前年比3.1%増)でした。単純に12か月分とすると約408万円、賞与を含めた年収換算ではおおむね490万円前後が一つの目安になります。
企業規模別に見ると差は大きく、1,000人以上規模の平均年収は649.4万円、10〜99人規模は456.2万円と、約193万円の開きがあります。同じ日本でも、勤める会社の規模によって年収レンジは400万円台から650万円台まで幅広く分布していると考えてよいでしょう。
- 一般労働者・男女計:月額34.06万円/年収換算で約490万円前後
- 男性:月額37.34万円(年収換算 約540万円前後)
- 女性:月額28.59万円(年収換算 約410万円前後)
- 大企業(1,000人以上):平均年収 約649万円
- 中小企業(10〜99人):平均年収 約456万円
学歴・業種・地域で見る年収レンジ
学歴別では、高校卒が月額29.72万円(年収換算 約420万円前後)、大学卒が月額39.63万円(年収換算 約570万円前後)となっています。学歴による差はありますが、同じ学歴でも業種や職種で大きく変動します。
業種別では「電気・ガス・熱供給・水道業」が最も高く755.4万円、「宿泊業・飲食サービス業」が最も低く402.6万円で、その差は約353万円(1.88倍)に達します。地域別でも東京都678.0万円に対し青森県400.8万円と、約277万円の差があります。
- 高校卒:年収換算 約420万円前後/大学卒:約570万円前後
- 高水準業種:電気・ガス・熱供給・水道(約755万円)、金融・保険(約630万円)
- 低水準業種:宿泊業・飲食サービス業(約403万円)
- 高水準地域:東京都(約678万円)/低水準地域:青森県(約401万円)
年商から個人の年収を推測するときの注意点
「年商○億円の会社だから年収も高いはず」と考えるのは早計です。年商は売上の総額であり、利益率や従業員数、人件費の配分によって、社員の年収は大きく変わります。年商が大きくても薄利多売の業態では、年収が平均並みということも珍しくありません。
また、統計で示される平均年収はあくまで全体の平均値であり、年代・職種・雇用形態によって実際の年収は変わります。求人を検討する際は、年収だけでなく基本給・賞与の実績・残業の有無なども合わせて確認することをおすすめします。
- 年商は売上総額であり、年収の直接の根拠にはならない
- 平均年収はあくまで平均値で、中央値や個別事情とは異なる
- 単年の数値は賞与の変動で大きく振れるため、複数年の推移で見る
この記事のポイント
- 年収は個人の1年間の収入、年商は企業・店舗の1年間の売上高
- 年収は「額面」と「手取り」で金額が大きく異なる
- 年商が大きくても、社員の年収が高いとは限らない
- 2025年の一般労働者の賃金は月額34.06万円、年収換算で約490万円前後が目安
- 企業規模・学歴・業種・地域で年収レンジは約400万円台〜680万円台まで幅がある