執行役員の年収はいくら?平均の目安と公的統計の限界を解説

キーワード: 執行役員 年収

結論:執行役員の平均年収を示す公的統計は存在しない

執行役員の年収を調べると「1,000万円〜2,000万円」といった情報が出てきますが、これは公的統計に基づく平均値ではありません。執行役員は会社法上の「取締役」とは異なるケースが多く、雇用契約上の使用人(労働者)なのか、委任契約の役員なのかが企業ごとにバラバラです。

厚生労働省の賃金構造基本統計調査は「常用労働者」を対象とした調査であり、役員は基本的に対象外です。そのため執行役員だけを抽出した平均月額・平均年収は公表されていません。本記事では、公的統計で確認できる直近の役職別賃金を参考値として示し、そこから執行役員の年収レンジを幅を持って推計します。

  • 執行役員の平均年収を示す公的統計は存在しない(不明な点は不明と明示)
  • 参考になるのは部長級・課長級など役職別の賃金データ
  • 実際の年収は企業規模・業種・報酬体系で大きく変動する

公的統計でわかる役職別の賃金(2025年)

令和7(2025)年賃金構造基本統計調査によると、雇用期間の定めのない一般労働者の役職別所定内給与額(月額)は、男女計で部長級635.8千円、課長級529.2千円、係長級399.2千円でした。男性のみでは部長級642.4千円、課長級541.4千円、女性では部長級578.3千円、課長級470.3千円となっています。

これはあくまで「部長級」という役職層の月額所定内給与であり、執行役員の数値ではありません。ただし執行役員は一般的に部長級の上位に位置するポジションであることが多いため、年収レンジを考えるうえでの下限側の参考値として使えます。

  • 部長級(男女計):月635.8千円
  • 課長級(男女計):月529.2千円
  • 係長級(男女計):月399.2千円
  • 一般労働者全体(男女計):月340.6千円

執行役員の年収目安レンジ(万円)

公的統計が存在しないため断定的な提示はできませんが、部長級の賃金水準と一般的な報酬体系を踏まえると、執行役員の年収はおおむね1,000万円〜2,000万円の範囲に収まるケースが多いとされます。大企業・上場企業では1,500万円〜3,000万円を超える例もある一方、中小企業では800万円〜1,200万円程度にとどまることもあります。

部長級の月額635.8千円を単純に12倍すると約763万円です。ここに賞与・役職手当・業績連動報酬が加わるため、執行役員では現実的に1,000万円前後から上振れしていくという整理が現実的です。企業規模や業種、ストックオプション等の有無で結果は大きく変わります。

  • 中小企業:おおむね800万〜1,200万円程度の例が多い
  • 中堅〜大企業:おおむね1,000万〜2,000万円程度
  • 大企業・上場企業:1,500万〜3,000万円超の例もある
  • いずれも概算の目安であり、確定値ではない

役種別の参考:業種による年収差

役職に就く前段階の水準差を知ることは、執行役員の年収を考えるうえで役立ちます。2025年の産業別賃金(男女計・月額所定内給与)は、電気・ガス・熱供給・水道業が444.0千円で最も高く、次いで学術研究・専門・技術サービス業が440.3千円、金融・保険業が437.0千円前後、情報通信業が406.0千円前後となっています。

一方で宿泊業・飲食サービス業は277.2千円と最も低く、同じ「役職者」でも業種によって年収水準に大きな開きが出ます。執行役員の報酬も、この業種別の賃金水準や企業の収益力に連動する傾向があります。

  • 電気・ガス・熱供給・水道:月444.0千円(年収換算で約640万円の水準感)
  • 学術研究・専門・技術サービス:月440.3千円
  • 金融・保険:月437.0千円前後
  • 情報通信:月406.0千円前後
  • 宿泊業・飲食サービス業:月277.2千円

学歴・雇用形態で見る賃金の前提

2025年の学歴別賃金(男女計・月額)は、高校卒297.2千円、大学卒396.3千円、大学院卒517.4千円です。執行役員に就く層は大卒・大学院卒が中心と想定されるため、役職に就く前の段階でも月40万円前後という水準が一つの目安になります。

また雇用形態別では、正社員・正職員が358.8千円、正社員・正職員以外が241.7千円となっています。執行役員は多くの場合、正社員としての雇用契約か、それに準じる形で処遇されるため、この上位レンジに位置すると考えられます。

  • 大学卒:月396.3千円(年収換算で約570万円の水準感)
  • 高校卒:月297.2千円
  • 正社員・正職員:月358.8千円
  • 正社員・正職員以外:月241.7千円

執行役員の手取りはどのくらい?

年収が上がるほど税金と社会保険料の負担率が高くなるため、手取りの割合は下がります。年収500万円前後では手取りは額面の約75〜80%が目安ですが、年収1,200万円を超えると約65〜70%程度まで下がるのが一般的です。

たとえば年収1,200万円の場合、手取りはおおむね800万〜850万円前後、年収2,000万円の場合は1,300万〜1,400万円前後が一つの目安になります。ただし家族構成、自治体の税率、役員報酬の支給方法によって変動するため、あくまで概算として捉えてください。

  • 年収1,000万円:手取り約700万〜750万円前後
  • 年収1,200万円:手取り約800万〜850万円前後
  • 年収2,000万円:手取り約1,300万〜1,400万円前後
  • 役員報酬は社会保険の加入有無で手取りが変わる点に注意

執行役員と取締役・部長の違い

執行役員は会社法上の法定役員ではなく、企業が独自に設けることが多い役職です。取締役のように株主総会の承認は不要で、任命・解任は代表取締役などが行います。そのため法的な位置づけは企業ごとに異なり、労働者として扱われる場合と、委任契約の役員として扱われる場合があります。

部長はあくまで組織内の管理職(労働者)ですが、執行役員は経営に近い立場となるため、報酬体系も月給+賞与から、年俸制・業績連動型へと変わることが少なくありません。この違いが、年収の振れ幅の大きさにも表れています。

  • 執行役員:法定役員ではなく企業独自の役職が多い
  • 取締役:会社法上の役員。株主総会の承認が必要
  • 部長:労働者としての管理職。賃金構造基本統計調査の対象
  • 報酬形態は年俸制・業績連動型が中心になりやすい

この記事のポイント

  • 執行役員の平均年収を示す公的統計は存在せず、正確な平均値は不明
  • 2025年の役職別賃金は部長級・月635.8千円、課長級・月529.2千円
  • 執行役員の年収は概ね1,000万〜2,000万円が一つの目安レンジ
  • 業種別では電気・ガス・水道、専門サービス、金融が高水準
  • 手取りは年収1,200万円で約800万〜850万円前後が目安
  • 企業規模・報酬体系で変動が大きく、断定できる数値ではない

参考情報

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